人間はどうしても見えるところに目が行ってしまいます。


私は中国で2年ほど仕事をしてきました。そこで感じたことは次の通りです。

日本人は目に見えない部分でも誤魔化すことはしない、いや見えないところだからこそ手を抜きません。

中国人は、見える部分だけ一生懸命やりますが、見えない部分は手を抜くことが多い。


例えば、自転車フレームのロー付けにおいて、日本人はちゃんと接合面にローが回るように注意します。

中国では、なんとなくくっついていればいいや程度の仕事を平気でやります。だから、中国ではラグ付きロー付けをやらせるのはかなり危険です。それだったら、外から接合面が見えるTIG溶接のほうが適しているんです。誤魔化しが利きませんからねえ。

建物もそうです。建設途上を監視しておかないといくらでも手を抜きます。鉄筋なんか入れませんからね。レンガを積んだだけで、あとは外装をきれいにさえすれば分かりませんから。なぜそうするかというと、コストを下げて浮いたお金はポケットマネーもしくはワイロに使うんです。

私は、フレームをオーダーする時はラグレスで頼みます。特殊なスケルトンだからということもありますが、誤魔化せないからです。ラグ付きフレームはフレームをカットしてみないとちゃんと誤魔化さずに接合しているかが分からない。オーダーフレームはちゃんとパイプ同士が突き当たるようにパイプの末端をざぐっています。メーカーの量産フレームの多くはそんな面倒なことはしていません。パイプに直角にカットして、ラグで隠れればOKです。

TOEIでオーダーすると、ラグレスフレームより、ラグ付きフレームのほうが高いです。

また、クロモリのバテッドチューブは外からは超音波肉厚計を使って測定しないと分かりません。外バテッドにしたほうが外見でアピールできるのでいいように思うのですが、あえて外観の分からない内バテッドにしたのは、粋な技術だなと思います。作るのも大変なんですがね。

日本人は見えないところに手間暇をかけます。だから、1000年以上前の木造建築が残っているんです。釘だって1000年以上錆びて朽ち果てないような釘を使ってますからね。鉄なのに錆びにくい。
中国ではステンレスSUS304はすぐ錆びます。余計な不純物が入ってるからです。日本のSUS304とは全く異なる材料です。中国人はなぜステンレスを使うのかの理由を知りません。ウソのような本当の話です。

あと、中国では不良品の発生は低いです。その代わり、S級品、A,B,C級品などに仕分けされます。同じ型番なのに値段が違う部品が複数存在します。日本向けはS級品のはずですが、混在して入ってくることもあります。また1万円を切るような自転車にはS級品でない粗悪な安い部品を使ってコストを下げています。もし、品質上の問題が発生しても「安く作れと言ったあなたが悪い。」と平気で言ってきます。日本では考えられませんが、私はその通りだと感心してしまいました。

見えないところを手抜きしないのが本来の日本のモノ作りだったはずですが、最近は怪しくなってきましたね。