私がロードバイクが嫌いなのは、「データや数値」で物事を決めつけてしまう人が多いからです。
「データや数値」は信用できるが、人間の「直感」は信用できないという人種を生み出してしまったロードバイクと言う乗り物は速く滅亡させなければならないと私は思っています。(ロードレーサーとロードバイクは違いますからね。)

私が良く引用する空海・真言密教の究極の教えは「考えるな、感じろ。」です。「感じる。」というのは数値化できない。酒の味やスピーカーの音の最終判断は「データや数値」とは全く関係ない人間の「直感」です。「うまい!」と思ったのが「うまい」のです。「いい音だなあ。」と感じたのが「いい音」なのです。

ショートクランクについても、私は「直感」を大事にしてきました。「直感」は神仏に通じるところがあるような気がします。

開発屋というのは「ひらめき」や「直感」を大事にしないとやっていけない商売です。いくら大金をはたいていろんな「データ」を集めてみても心に響くものがない。つまり、「データ」は神仏に通じていないのです。神仏に通じていないという意味は「宇宙の法則に従っていない。」と言うことです。

たとえば、「どんな自転車なら買いますか?」なんてアンケートを取って、それをデータ化して多数決で決めて自転車を作ったら、全然売れない自転車が出来てしまう。なぜかというと、「お客さんは答えを知らない」からです。「直感」で作ると、お客さんは「こういう自転車が欲しかったんだよね。」なんて言いながら、買ってくれるのです。

何が違うと思いますか。「データ」は過去で「直感」は未来なんです。 開発というのは、10年先、20年先を見据えて仕事をしなければなりません。だから、一番儲からない商売なのです。データで仕事をする人間は開発と言う仕事はできないのです。

「データ」や「数値」というのは後付けでいいのです。都合のいいところだけ抜き出せばいいのです。

素人が扱える測定機器が増えました。測定器はあいまいな答えは出しません。

でも、モノ作りに必要なのは「ファジー」な部分なのです。もやもやして分からないものの中にこそ答えがあると私は思っています。