今の日本の輪界において、新しいモノへ挑戦するということはかなり大変なことです。

新しいモノというのは、理解できる人は非常に少ない。ある意味変人扱いされたりバカにされます。
それでも、明るい未来が見通せるから前に進むことが出来るのです。誰にでもすぐに理解できるような発明は大したことありません。理解できないからこそ意味があるのです。

だから、輪界の中にいたら意味のある発明は潰されてしまうのです。特に私のやっていることは当たり前過ぎて、理解できる人というのは相当頭がいい人にしか分かりません。
また、運よく量産化できたとしてもすぐに売れるものではありません。それなりに時間がかかります。
だから、経営者には忍耐が必要なのです。

今回のショートクランク車は今までの自転車の常識をことごとくひっくり返してしまう力を持っています。今までの自転車の設計がいかに間違ったことをやっていたかと言うことが明確になってしまいます。ですから、今までの常識の中で自転車を見ていた人には全く理解できないものです。

今の自転車は中国無しには作ることが出来ません。カーボンフレームのほとんどが中国で作られていますがそれでも、中華カーボンとバカにしている人は大バカですよ。
カーボンフレームは本体が中国製でもイタリアで塗装してメイドインイタリーに化けているものは沢山あります。台湾メーカーだって、中国で作らなければコストがあいません。

日本国内にはクロモリでオーダーフレームを作れるところは沢山あります。しかし、ロードに乗る人でオーダー車に手を出す人はわずかで、中国製カーボンにブランド名を張り付けたものに金を払っているわけです。軽量化は目に見えます。しかし、オーダーフレームは見えないところに手間暇をかけています。その良さは乗ってみないと分かりません。

お客さんは自分がどういう自転車が欲しいかなんてわかりません。作ってみて初めて「こういう自転車が欲しかったんだよね。」と言うんです。だから、先回りをしなければならないのです。

自転車の開発屋は一番割に合わない商売です。一生に一度だけいいものを世に送り込めるのが精一杯かもしれませんね。