自転車は肉体を鍛えるだけでなく、精神的効用がある。

ただ乗るだけで、気持ちが晴れ晴れする。ストレス解消にはもってこいである。

目的地を目指すだけでなく、寄り道がなんとも楽しい。冒険心をかきたてる。

自転車に乗ると、旅に出たくなる。そのまま旅に出てしまうこともあるし、何十年か後に実現することもある。

自転車に乗ると、詩人になれる。山頭火のような旅に憧れる。

自転車に乗ると、自然に興味を持つ。花だったり、虫だったり、山だったり、星だったり。

自転車に乗ると、人恋しくなる。一人でいると話し相手が欲しくなる。

自転車に乗ると、いい出会いがある。見知らぬ人に一晩お世話になったり、どこかであった人と偶然に再会したり。

自転車に乗ると、失ってしまっていた能力が再び蘇ることがある。自転車と会話し、神の存在を感じる。水も空気も人間が作ったものではない。月や太陽も人間が作ったものではない。そして、この自分さえも人間が作ったものではない。 

自転車に乗ると、自分の存在に気が付く。魂が体を抜け出し、空から自分のことを見ている。

自転車に乗ると、人間が作った宗教なんてどうでもよくなる。自然そのものが宗教である。

自転車と言う乗り物は、人力で走る。そこに大きな意味がある。人間が発明した乗り物の中で一番素晴らしい乗り物である。そのことに気が付いてる人はまだわずかしかいない。